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高密植栽培等を提案~弘前大学等が研究成果を報告~

2019/03/28

 「フードバリューチェーントータル実証事業産地説明会『りんご産業の明日を考える』」が3月15日、弘前市内で開かれた。同事業では農水省の補助を受け、弘前大学と青果物の海外販売を手掛ける「ウィズメタックフーズ」が高密植栽培やリンゴ輸出、クラブ制等を中心に世界のリンゴ産業の動向を研究してきた。説明会では出席した生産者やリンゴ関係者らに研究成果や現況が報告された。
 このうち、「世界のりんご産業の趨勢と青森の対応~高密植栽培とクラブ制を中心に~」と題し講演を行った弘前大学人文社会科学部の黄孝春教授は、「青森県産リンゴは長時間の労働時間と、高度な剪定技術等により高品質リンゴが作られ、それが世界との差別化につながっている」とした一方、高密植栽培のメリットとして、早期結果、多収、省力等を挙げ、「生産面積が減少傾向の中、今後2000ヘクタールを高密植栽培に変更すると、年間5万トンの増産効果が見込まれ生産量低下分をカバーできる」とし、高密植栽培の導入を提案した。
 また、「東南アジアりんご需要の現状と輸出の流通について」と題し講演したウィズメタックフーズの市川孝一執行役員は東南アジアの現況について、「産地価格の高騰により、値ごろ感のある小玉サイズへ移行したことが日本産リンゴの美味しさを知るきっかけとなり、消費拡大につながっている」、「赤色系の競争が激化している中、黄色系の生産が他国産で少ないことから、人気が高まっている」などと現状を報告。
 日本産リンゴの課題として「海外のクラブ制リンゴの周年供給体制の確立による、アジア諸国での棚の減少」、「品種開発への遅れや日本品種の海外業者への流失への危惧」等を指摘。国際競争力の強化、流通の一環体制構築のための手段の一つとして「クラブ制」の導入を挙げた。
 産地説明会ではこのほか、GAP制度やタイの日本食品市場の概況等について講演が行われたほか、意見交換会が行われ、青森県リンゴ産業の維持、発展への方策を探った。





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